図書の紹介(長沢元夫)

病気になっている人においても、病気の予防のためにも、食事について正確な知識をもつことが必要である。大きな書店に行くと、家庭療法の棚には実に多くの食事療法単行本が置いてあり、よほど勉強した人でないとどの本を買えばよいのか迷うはずである。私の経験から必読の本を紹介しておきたい。



1.「老化は食べ物が原因だった」

ニューヨークの医師の医師、ベンジャミン・フランク著(1976刊)、市川桂子訳、青春出版社のプレイ・ブックP-305、新書判、272頁、1982年刊。
この本は老化を防ぐ核酸食事法を紹介すると称していうのだが、その理屈よりも戦前の日本の中産階級の食事を内臓や血管に故障のあるアメリカ人に教えて、それによって各種の生活習慣病を治している事実に興味を覚える。戦前の中産階級の食事といえば肉をほとんど食べず、魚は塩ジャケかイワシがおもであり、その他は野菜、豆類、海藻を摂っていた。現代の最新の栄養学の立場からみるとその正しさが初めて分かるのであり、それを教えてくれるのがこの本である。


2.「危険な油が病気を起こしている」

アメリカの自然療法クリニック所長のジョン・フィネガン博士著(1993年刊)。今村光一訳、オフィス今村刊、B6判、237頁、1998年刊。
この本は脂肪を構成している脂肪酸のうち、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸を一定の割合で、加熱しないで摂ることが、各種の病気を治し、健康を増進する正しい食用油のとり方であることを最も新しい科学的データに基づいて説明している。農耕民族の子孫である日本人は天ぷら、卵、バター、マーガリン、牛乳、ヨーグルト、アイスクリーム等を食べてはいけないのである。世界各地の辺境や後進地域に住んでいて、伝統的な食生活をしている人達が、その後現代風の西洋的な食生活に変わった時に、彼らの病気がどのように変化したかというデータを基礎にして、それを生化学的な新しい研究で裏付けしているので、仮説をよりどころにしていないことが読めばすぐに分かる。


3.「何を食べるべきか―――栄養学は警告する」

丸元淑生著、講談社+α文庫、338頁、1999年刊
この本は、同氏の「生命の鎖」(飛鳥新社刊、1992年)を贈訂したもので、1990年以前の古い栄養学は健康に維持に役立たない事実を具体的に説明しているだけではなく、新しい栄養学を採用すると病気が治るだけではなく、性格まで変化することを示しているところが大変面白い。ロンドンの救世軍で11歳から15歳の少女17名について次のような実験を行った。「少女達は白いパン、マーガリン、安いジャム、多量の甘くした紅茶、缶詰の加工肉食べていて、口論が絶えず、互いに攻撃的で権威に抵抗していた。怠惰で、大儀そうで、様々な事柄に無関心だった。その食事を多種類の変化に富んだ新鮮な野菜と果物、乳製品、新鮮な肉にしたところ、ニキビはきれいになり、頬はばら色になり、快活な態度になって、あまり口論をしなくなり、自分を取り巻く世界に興味を持ち始め、自分自身の生活のための計画を立てるようになった」という。イギリスではラットを使った実験で同様なことが追認されているそうです。


4.「生野菜汁療法」

ウォーカー著、樫尾太郎訳、実業之日本社刊、実日新書C-45、223頁、1961年刊。
この本は日常的な野菜をジューサーにかけた生汁が各種の病気に著しい治療効果を示すことを世界に最初に公開したもので、わが国の青汁療法などはこれを真似たものにすぎない。食用ニンジンの生汁の効用のすばらしさを私はこれから教えられた。訳者は高名な内科医で、西勝造氏がはじめた西式医学の後継者である。


5.「食べるクスリ―――平凡な食品に秘められた薬効」

アメリカの栄養学ジャーナリスト、ジーン・カーパー著(1988年)、丸元淑生訳、飛鳥新社刊、B6判、363頁、1991年 。
→現在は「食べるクスリ」ハルキ文庫刊 349頁 1997年となっている。


6.「食事で治す本―――ガン編」

ジーン・カーパー著(1993年)、丸元淑生訳、飛鳥新社刊、B6判、326頁、1994年 。
→現在は「食事で治す本・上巻」ハルキ文庫刊 308頁 1997年となっている。


7.「食べるクスリ・3―――食事で治す本・下巻」

ジーン・カーパー著(1993年)、丸元淑夫生訳、飛鳥新社刊、B6判、294頁、1995年 。→現在は「食事で治す本・下巻」ハルキ文庫刊 283頁 1997年となっている。
この3冊の本は八百屋で売っている野菜や果物類は全て薬として使用してもよい作用を持っているから、八百屋は食品を並べている薬局に他ならないという考えで筆者は筆を取っている。そしてインターネットを使って世界中から新しい研究情報を集めているので、内容は驚くほど豊富である。文献5の目次でみるとアンズ、イチゴ、イチジク、オレンジ、カブ、カボチャ、カリフラワー、キャベツ、サクランボ、サツマイモ、ジャガイモ、ショウガ、タマネギ、茶、トウモロコシ、トマト、ナス、ニンジン、ニンニク、ブドウ、ホウレンソウ、メロン、リンゴ等、50項目ある。1項目読むたびに新しい世界が開けてくるので、アメリカではベストセラーになっているそうである。
野菜で病気の治療も予防できるだけでなく、薬品のように副作用はないのだから、正しい判断によってこれらを使用すれば人生観も変わってくるのではないだろうか。「素問」の中にある「上医は巳病を治さず、未病を治す」という句の解釈は今までのように単純に考えてはいけないことが良く分かるであろう。


8.「足の汚れが万病の原因だった」

台湾の官有謀著、文化創作出版刊、新書判、216頁、1996年
この本の副題は「もむだけで治る驚くべき中国医学の特効」となっているが、これは中国医学ではない。発生地は恐らくエジプトあたりではないだろうか。台湾在住のスイス人カトリック神父(中国名は呉若石)がヨーロッパからこの治療法を伝えたので、台湾では若石健康法とよばれている。それをわが国に紹介し、広めたのが官有謀であり、はじめは足心道秘術と称していたが、1990年に官足法と改称した。欧米ではゾーン(区帯)療法とか足の反射区治療法と呼んで、手の拇指で主に足の裏をもむ方法をとっているが、官有謀氏は長さ12センチで両端を丸くした木製の棒(官足棒という)を使って押す。
足の裏には全身の反射区があるという。押して強く痛む場所から、体のどの部分に異常が生じているかが分かるので反射区と称する。しかし、痛いところだけを押すのではなく、膝上10センチから下を全部もむことが病気の予防と治療には必要である。男性は50(歳)を過ぎると前立腺肥大や前立腺ガンに注意しなければならない。その時は足の内踝の下部を押すと大変痛い。それが反射区だから、そこもよく押さなければならないから足の裏だけではないのである。これを毎日続けるとその心配がなくなるものだから大変ありがたいことである。目まいや乗物酔のひどい人は足の甲の小指と第4指のつけ根の中間を押すと治る。このようにしてあらゆる生活習慣病を治すことも予防することもできるのだから、一度体験するとその有難味がよく理解できる。この続編も出ている。


9.「続・足の汚れ、が万病の原因だった」

台湾の官有謀著、文化創作出版刊、新書判、214頁 1988年。


10.「足の反射療法」

吉本昭治、星野益孝訳、医道の日本社刊、B5変、134頁、1986年。


11.「足のウラから病気を治す―――驚異の反射療法のすべて」

吉本昭治、健友館刊、B6、174頁、1989年。


12.「万病を治す冷えとり健康法」

進藤義晴著、農山漁村文化協会刊、健康双書、B6判、186頁、1988年。


13.「万病に効く半身浴」

進藤義晴著、壮快編集部編、マキノ出版刊、ビタミン文庫、B6判、204頁、1989年。


14.「医者知らず『冷えとり』で完全健康人生」

進藤義晴著、海竜社刊、B6判、206頁、1997年。
風呂に入るとき38度位の湯に胃から下だけを(湯に・・これはカット)つけ、腕は外に出し、20~30分そのままでいると頭や顔から汗が出るようになる。湯に入り5分位しても汗が出そうでない時は、湯に入ったまま火をつけて温度を上げると汗が出るようになる。
はじめに皮膚が刺激をうけるほどの熱い湯に入ると汗が出なくなるから、温度に注意しなければならない。汗が出た時、体は頭寒足熱という状態になっていて、体は芯から温まる。40分位入っていると血液の循環が良くなり、内臓の毒素が汗と一緒に出るので湯冷めもせず、体調が良くなる。長い時間はいっているので、浴槽の中に風呂用の腰かけを入れて座ると楽でよい。風邪をひいている時でも半身浴をすると治ってしまう。熱い湯に肩までつかっていると体表だけが温まるのだから、後で湯冷めするようになり、かえって風邪がひどくなる。体調の悪いときは1時間以上も半身浴をするとよい。私はしたことがないが足湯だけでも同様な効果があるという。熱い湯をシャワーでかけるのも、カラスの行水のように3~5分で湯を出るのも体に良くない。
子供を風呂に入れる時、よく温まるように首まで湯につけて、百数えさせる人が多いが、そのようにすると、表面だけが熱くなり、体の芯は冷えたままなので病気のもとになると進藤氏は言う。小さい子供はオモチャでも浮かせておき、湯の中で立って遊ばせておけば半身浴になって一番良いと言う。予防注射や抜歯の後、熱のあるときは入浴してはいけないと一般に言われているが、それは入浴の仕方が間違っているからで、半身浴という正しい入浴法は、ただの入浴でなく治療になるのだから入ったほうがよいのである。慣れない人ははじめは上半身が寒いような気がするが、その時は20秒間くらい肩までつかって温まると良い。私は、冬でもわざわざ窓をあけて入浴しているが、少しも寒くなく、汗も良く出る。
進藤氏は「冷えが万病のもとである」とい立場であるから、入浴以外のときでも頭寒足熱の状態を維持するために靴下は最低3枚はき、一日中その状態にしておくというのだから、寝る時も靴下をつけたままということになる。一番下に5本指の木綿の靴下をはき、その上に絹の靴下をはき、さらにその上にもう一枚はく(これは化繊が入っていてもよい)――これを基本としている。化繊は病毒の排出を抑えるから肌に直接つけない方が良い。下半身、特に足首から先が低温で、上半身が暖かい状態を「冷え」と称していて、この状態では内臓の働きが悪くなって自然治癒力が弱くなり、色々な病気が発生してくる。進藤氏は冷えと食べ過ぎが健康に最も悪いという立場を取っている。下手な医療よりも頭寒足熱にすることがよいという。それで、私は一年中、靴下は4~5枚はいている。このようにしてから本当に病気をしなくなった。